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小原一樹 プロソーシャルな距離/思考法編
シルタス株式会社  
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
シェルパス株式会社 新井豪一郎
代表取締役
イギリス、オーストラリア、日本育ち。1997年NTT入社後、戦略系コンサルティングファームのStrategy&を経て、株式会社星野リゾートにてスキー場事業責任者およびスキー場再生ジョイントベンチャーの取締役COO。2010年に株式会社CLEARNOTE(旧アルクテラス)を創業し、ノート共有アプリ「Clearnote」を日本、台湾、タイ、イントドネシアで展開。各国で最もアクティブユーザー数の多い学習アプリに。CLEARNOTE社をコクヨ株式会社に売却後、DNX Venturesでのスタートアップ投資を経て、娘がより活躍できる社会を築くためにシェルパスを共同創業。1997年慶應義塾大学 経済学部卒業。2003年慶應義塾大学大学院 経営管理研究課修了。情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。
『指導者の条件』著:松下幸之助 誰かと一緒に何かを成そうとする人 仲間の顔を思い浮かべながら |
その本が初めて世に出たのは1975年。日本が高度経済成長の終焉に触れ、混迷の時代に突入しつつある頃だった。「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助が、自らの姿勢を正すために著したといわれる本書だが、その内容は50年近く経過した今なお光を放つ。真に普遍的な教えとは、いつの時代も私たちを支えてくれる。自分を戒めてくれる本として、座右の書とする人も多いだろう。新井氏も、本書を何度も読み返している一人だという。歴史上の人物たちの逸話を引用しながら、リーダーに必要な要件を102箇条にわたり説く。経営者のみならず、人を率いる者としての在るべき姿がここにある。 |
松下幸之助さんの著書は、全般的に自分に強い影響を与えていると思います。やはり日々仕事をしていると、どうしても戦略や手段に意識が向きがちで、「なぜやるのか」「経営者としてどう在るべきか、何を大切にするべきか」といったことを忘れることもあると思うんです。恥ずかしながら僕自身もそうでした。それを思い出させてくれたのが、『指導者の条件』や『道をひらく』といった本だったんです。
今でも過去長く一緒に仕事をしてきた仲間が付き合ってくれたり、「また一緒にやりたい」と言ってくれたりするのは、そうした学びを本から得ていたからかもしれないと思っています。
最初に読んだのは、まだ自分が起業する前です。経営者のための本という位置づけだったので、「経営者になるなら」くらいの考えで、手に取りました。
でも、その時は正直、全く響かなかったんです。実際に社長として仕事を始め、つまずいたり、立ち止まったりするなかで、ふとした時に読み返すと「そうだ、こういう視点を忘れてはいけない」と思い出す。そういう瞬間に思い浮かぶのは、仲間の顔です。今の自分は、仲間がついていきたいと思うリーダーではなくなっていたかもしれない、これではだめだと。そうやって自分の襟を正すために、何度も読んでいます。
判断が利己的にならない、ということですかね。社会的インパクトを大事にすると言っていたはずなのに、気づけば自分のビジネスの最適化が判断基準になってしまっていたなと思う瞬間があるんです。それは仲間との対話の中で気づかされることもありますし、本を読み返していて気づかされることもありました。
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